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システムに固執するな [ものの見方、考え方]

(住人注;本庶研)当時、本庶先生がおっしゃっていたふたつの言葉をよく覚えています。
ひとつは、本庶先生の米国時代の師匠。ドナルド・ブラウン先生のお言葉だそうですが、「Do not stick to the system. Stick to the question(システムに固執するな。知りたいことにこだわれ)」です。  もうひとつは「不可能を可能にしたいんや」です。
論理的におかしな言葉ですし、そんなことできたら苦労はせんわなぁ、と、いつも思っていました。 しかし、免疫チェックポイント阻害剤によるがんの画期的な治療法開発を目の当たりにして、本庶先生は、この言葉を実現化されたのだと感動すら覚えてしまいます。
ただ、これはめったにできることではなく、凡人には真似したくてもしようがない、というのが正直な感想です。

(あまり)病気をしない暮らし
仲野徹 (著)
晶文社 (2018/12/6)
P206

DSC_6216 (Small).JPG金峯山寺


タグ:仲野徹
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都会の暮らしは楽ですか? [ものの見方、考え方]

 新潟地震は一九六四年六月十六日にマグニチュード七・五でおこった地震で、亀田郷の揚水ポンプなどが破壊され、亀田郷だけでなく信濃川や阿賀野川ぞいの埋立地で被害が大きかった。
上杉川のひとびとも里に降りて土工などの仕事をし、いい賃金をとった。贅沢もおぼえた。人間はいったん現金が手軽に入って手軽に消費できる暮らしの中にまぎれこんでしまうと、山に帰る気がしなくなるのであろう。
山では何もかも自分の手と足で生活の必需品をつくらねばならないし、燃料も山へ入ってシバを刈らねばならず、そのシバで風呂をわかすにしてもまず谷から家まで何度となく上下して水を汲み上げることから始めねばならない。
(里というのは、こんなに体が楽なものか)
 と知ってしまったために離村したというのが、どうやら実情であるらしく、上杉川の場合、その以外には理由も考えられないようである。

街道をゆく〈9〉信州佐久平みち
司馬 遼太郎 (著)
朝日新聞社 (1979/02)
P95

DSC_6229 (Small).JPG金峯山寺


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耐えられる程度のストレスが幸福を持続させる [ものの見方、考え方]

P200
 本庶先生(住人注;本庶佑(たすく))の研究室・京都大学大学院医学研究科・免疫ゲノム医学のホームページには「6つのCを大切に」とあって、そこには「好奇心Curiosityを大切に勇気Courageを持って困難な問題に挑戦Challengeし、必ずできるという確信Confidenceをもち全精力を集中Concentrateさせ、諦めずに継続Continuationすることで、時代を変革するような研究を世界に発信することができるのです」と書いてあります。
 PD-1の研究は、本庶先生のモットーである6つのCが結実したものです。

P205
 石田さん(住人注;石田靖雅 現・奈良先端科学技術大学院准教授)やわたしが在籍していた頃の本庶研は、セル、ネイチャー、サイエンスといった超一流雑誌に論文がコンスタントに出る超一流の研究室でした。
とはいえ、そのような論文の筆頭著者になるには、並大抵の努力だけでなく、運も必要です。そのような大きなプレッシャーの中、50人ほどもいたメンバーが切磋琢磨していました。 ほんとうに、今の時代となっては信じられないくらいに厳しい研究室でした。
 土日なしなどはあたりまえ。連日、深夜まで研究室にはあかりが灯っていたものです。わたしにはとてもできませんでしたが、週に100時間も研究室にこもっているような人もいました。
 人間、苦労を売り物にしたら最後だと思うのですが、人生においていちばんしんどかったのは本庶研時代でした。最初の2年間ほどはまったくデータが出ず、プレッシャーから、もう研究をやめようと文字通り涙したこともありました。しかし、その後、幸運に恵まれていい研究ができ、サイエンス誌に論文を出して、教授になることができました。
 それから何年も後のことですが、本庶先生がお書きになられた「幸福感に関する生物学的随想」という小冊子が送られてきました。そこには、「人が耐えられる程度の不快な思いをすること」も、幸福感を永続的に味わわせるのに有効ではないか、と書かれていました。
えらく辛かったけれど、ひょっとしたら、本庶先生は、我々、弟子たちの幸福感を持続させるためにプレッシャーをかけてくださっていたのかもしれないと、弟子仲間で苦笑したものです。

(あまり)病気をしない暮らし
仲野徹 (著)
晶文社 (2018/12/6)

DSC_6214 (Small).JPG金峯山寺


タグ:仲野徹
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野狐禅 「不落因果」と「不昧因果」 [ものの見方、考え方]

大修行をするということは、因果の法則を無視するとか、因果の法則を超越するというような、そんな意味ではなくて、
此の複雑極まりないところの因果の法則というものは、
実は普通の人間にはわからない。
その因果の法則をハッキリさせること、ごまかさないだけのことである。
~中略~
不養生をすれば病気をするという因果、それをハッキリさせる。
いい加減にしておかない、
これがひとつの「不昧因果」です。そうして、ハッキリその因果の法則に従って実践するーこれが修行です。
つまり、科学をはじめ、すべての学問は「不昧因果」であるわけです。

                       安岡 正篤
                       運命を開く―人間学講話
                                   プレジデント社 (1986/11)
                       P13

人間学講話第2集 運命を開く (安岡正篤人間学講話)

人間学講話第2集 運命を開く (安岡正篤人間学講話)

  • 作者: 安岡 正篤
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 1986/12/02
  • メディア: 単行本


1917645

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直観は案外に正しい [ものの見方、考え方]


危機に直面した時、人間の直観は案外に正しい。危機の時、何より正しい教科書は、マニュアルや想定より、目の前になる現実だ。そこが避難所に指定されているからといって、安全という保障は何もない。


天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災
磯田 道史 (著)
中央公論新社 (2014/11/21)
P199



天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書)

天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 (中公新書)

  • 作者: 磯田 道史
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/11/21
  • メディア: 新書




DSC_1646 (Small).JPG普明山高野寺

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文明と災害 [ものの見方、考え方]

寺田寅彦は、「文明が進めば進むほど天然の猛威による災害が、その激烈の度を増す」
(「天災と国防」昭和九年一一月、「寺田寅彦全集第7巻」所収、岩波書店)
と書いている。文明の進展とともに世の中が一様化され集約化されるから、天災による一つの部分の破綻が全体に対して致命的となるということを指摘したのだ。
この七七年前の言葉が不幸にも現代日本において的中してしまった。

 この間、さらに科学・技術が発展し、高層建築、巨大ダム、高速道路、高速列車など、寺田寅彦の時代とは様変わりし、天災に対してより脆弱な社会構造としてきた。
科学・技術にによって自然が克服できると錯覚し、科学者・技術者はせっせと自然改造に勤しみ、人々もそれを歓迎して欲望を膨らませていったためだ。
同文章で、寺田が「文明が進むに従って人間は次第に自然を征服しようとする野心を生じた」と書いている通りである。
無限の繁栄が続くと誤認して。

専門家の社会的責任
  池内 了 (名古屋大学名誉教授)

世界 2011年 05月号

岩波書店; 月刊版 (2011/4/8)
P54

 

世界 2011年 05月号 [雑誌]

世界 2011年 05月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 雑誌


-4693d.jpg三徳山三仏寺

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ホットハート・クールマインド [ものの見方、考え方]

 先ず「ハートは熱く」(ホットハート)とは、ポジティブ・イリュージョンによる「自分だまし」のことと考えてください。
自分のポジティブな心に忠実であること。あくまでも楽観的に現実を自分の都合のいいように解釈していくこと。
~中略~

 また、ひたすら身勝手で、自分に都合よく、物事を思い込みで考える人ほどやっかいな人はいません。
無反省なポジティブ・シンキングは、周りの人に迷惑を撒き散らします。
 そこで登場するのが、もう一方のキーワード「頭の冷静さ」(クールマインド)です。
ホットなハートは大切にしつつも、常に冷静に物事を正しく判断しようとするクールで批判的な頭も忘れてはなりません。
 大切なのは、これらは両立しうるものだという点です。
菊池聡

40歳の教科書NEXT──自分の人生を見つめなおす ドラゴン桜公式副読本『16歳の教科書』番外編
モーニング編集部 (編集), 朝日新聞社 (編集)
講談社 (2011/4/22)
P116

40歳の教科書NEXT──自分の人生を見つめなおす ドラゴン桜公式副読本『16歳の教科書』番外編

40歳の教科書NEXT──自分の人生を見つめなおす ドラゴン桜公式副読本『16歳の教科書』番外編

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/04/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


TS3E0359 (Small).JPG菅生の滝

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意思を表示したくないという意思 [ものの見方、考え方]

 2017年の世論調査によれば、臓器移植の意思表示をしている人の割合は12.7%にとどまっており、その割合は過去20年大きな変化が見られない(14)。
残りの8割以上は、意思表明をしたくないという意思を持っているか、もしくは単に意思が不明であるかのいずれかである。
法律の改訂により、本人の意思が不明な場合には家族の同意だけで提供ができることになったが、それは、意思表示をしていない8割強のうちの「意思表示をしていないが、提供には反対ではない(かもしれない)人たちに対する政策的介入と考えられる。
 この結果、たとえば図9-2において「意思表示をしたいとは思わない」と明示的に解答した24.4%の意思は、「意思なし」とみなされ、家族が決定するというかたちで「提供意思」の一部に含められることとなった。
現行の日本の制度は、意思表示カードが用意されているという意味ではオプトインのようにみえるのだが、実際には、本人の提供意思が明らかでない場合には、「(本人の提供意思は考慮から外して)家族が判断する」というかたちで、提供意思のデフォルトをへんこうしたのだといえる。
 臓器提供の意思表示において、デフォルトの変更を行うことが強い介入となることは、先に議論したとおりである。
そうした介入に際しては、「意思を表示したくないという意思」を示すことができる余地を作ることや、「わからない」と答える者に対して熟慮の機会を提供するといった、アーキテクチャーの設計に関する議論が同時になされなければならない。こうした配慮を欠いた政策は、自由に対する過剰な介入だという批判を免れないだろう(15)。
 この改定により、意思決定に際して家族が背負うことになる負担がこれまで以上に重くなったという点も見過ごすことができない。ドナー家族へのサポートや支援が全く整備されていないなかで、不確実性の高い状況におかれた家族が重大な決定主体とならざるを得ない制度設計を行うことは、移植医療全体のガバナンスにとって決して得策とはいえない。
臓器移植医療においては、臓器の提供件数が少ないために様々な問題が生じているとはいえ、提供数を増やそうとすることでそうした問題がただちに解決されるわけではない。
本章でとりあげた意思表示の仕方や家族の関わり意外にも、脳死判定を行う各医院のコストや、医療現場への負担といった、医療体制の実体に即した適切な介入のあり方を模索しなければならないだろう。
いたずらに提供数を増やそうとすることは、却ってシステム全体に負の影響を引き起こすことになる。

医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者
大竹 文雄 (著), 平井 啓 (著)
東洋経済新報社 (2018/7/27)
P197

DSC_5892 (Small).JPG宝満山


タグ:大竹 文雄
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どこから病気? [ものの見方、考え方]

 年齢に伴う機能低下や、はっきりした病気があっても、自分が家族や友人を含む広い意味での社会環境とうまくつながって生きている、という感覚があれば、その人は「健康」でありうる。
老年期はいわば長く延びたグレイゾーンであって、「病気」と思うと「病気」、「健康」と思うと「健康」といった心理現象が日常的におこります。
 ゆったりとした時間の流れる伝統的文化の社会では、機能低下をきたした高齢者に「健康感」を与える仕組みがあります。第三章でみた敬語の体系はそのひとつで、ジャワ、タイなど東南アジアの多くの文化において働きが認められました。社会的実績のある人に周囲は敬意を払いますが、認知能力の低下した老人に対しても敬意を払うというマナーは、その人が自分の人生は価値あるものだったと感ずる上で意味を持ちます。

「痴呆老人」は何を見ているか
大井 玄 (著)
新潮社 (2008/01)
P162

 

DSC_2824 (Small).JPG立久恵峡温泉

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後悔は未来へのバネにはならない [ものの見方、考え方]

   宮本武蔵対佐々木小次郎の、この決闘は慶長十七年(一六一二)四月十三日に関門海峡の巌流島(むかしは船島とも向島とも言った)で、実際に行われた。
いまは小倉郊外の、海峡を見下ろすすばらしい眺めの手向山に武蔵と小次郎の碑が仲良く建ち、この日に武蔵・小次郎祭が賑やかに行われている。~略  「いずれの道にも、わかれをかなしまず」「世々の道に背くことなし」などと、「五輪書」「独行道」などの著書で名言を数々残している武蔵であるが、なかでも有名なのは、
「我事において後悔せず」
 これを「われ事において」と読んで、自分のした一つ一つのことには後悔しない、と解する人が多く、狭小な理解じゃないかと考えているが、今回は余計な議論はやめる。
  いずれにせよ後悔は未来へのバネにはならないのである。人を奮い立たせてくれない。反省するのはいいが、後悔はほどほどがよかろうか。

この国のことば
半藤 一利 (著)
平凡社 (2002/04)
P137

この国のことば

この国のことば

  • 作者: 半藤 一利
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2002/04/01
  • メディア: 単行本


巌流島2003.3.23.1M (Small) (2).jpg

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我を捨てないと見えない [ものの見方、考え方]

 実はこの「お客様のために」という発想に、その(住人注;お客様のために一生懸命に仕事をしているのに、どうしてなんだろうと悩む)原因がありそうです。
ホスピタリティは、相手の立場に立って相手の価値観で考えることです。相手のためというのは、自分の価値観の中で相手のことを考える感覚です。ですから、意識は自分の方に向いています。
また、相手のためにと思いながらもどこかで見返りを期待する心があったりします。相手のためにここまでやっている、それに対して何らかの反応、感謝や満足の言葉、態度が感じられないとモヤモヤしてしまうのです。
 相手の立場に立つには、相手のことを感じとる力をつけていくしかないのです。

リッツ・カールトン - 「型」から入る仕事術
高野 登 (著)
中央公論新社 (2014/3/7)
P146



DSC_0565 (Small).JPG斑鳩寺 (兵庫県太子町)

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長短は我にあり [ものの見方、考え方]

怠惰の冬日は、何ぞ其の長きや。


勉強の夏日は、何ぞ其の短きや。


長短は我にありて、日に在らず。


待つ有るの一年は、何ぞ其の久しきや。


待たざるの一年は、何ぞ其の速やかなるや。


久速は心に在りて、年に在らず。

             「言志耋録」第一三九条


              佐藤 一斎 著

              岬龍 一郎 編訳

              現代語抄訳 言志四録

              PHP研究所(2005/5/26)

              P227

1927296本願寺

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意思決定 [ものの見方、考え方]

 自分は人生をこう生きていると頭で考えていても、それは実際の自分の生きざまではない。自分はこんなふうに決断をくだしていると頭で考えていても、それは実際の自分の流儀ではない。
ある日、ふと気づいたら操車場にいて、突進してくるトロッコにだれかがひき殺されそうになっているとしても、きみがどう対応するかは理性的な計算などとはいっさい無縁だろう。このような状況では感情や本能が支配権を握る。
感情や本能は、そこまで反射的でない決断をくだす場合にも指針として働き、自分ではとても慎重に理性的に決断しているつもりのとき―夕食はなにがいいかな? どこに住もうかな? だれと結婚すべきかな?―でさえ影響をおよぼす。

ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義
マイケル・ピュエット (著), クリスティーン・グロス=ロー (著), 熊谷淳子 (翻訳)
早川書房 (2016/4/22)
P27

 

DSC_5039 (Small).JPG平尾台

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視点 [ものの見方、考え方]

現像のできた写真をならべてみてじっくりと見たが、よく写っている。病気前に撮ったものと比べてみて見劣りしない出来である。ところが何かがちがうのである。
写真を睨みながら、何度も何度もねらった対象の姿をゆっくりと思い返してみた。
そしてやっと合点がいった。ぼくがこの建築を撮ろうと考えて見上げたのは車椅子の上からであり、助手の構えたアングルは病気前のぼくが立った眼の高さだったのである。

約五十センチの差がぼくをいらいらさせていたのであった。車椅子がぼくの足になってこのかた、知らず知らずのうちに僕の視点は低くなり、車椅子から見る視線が身についてしまっていたのである。
理屈では解決のつかないことであるが、かっては僕が唯一絶対であると信じていた視点が、いつのまにか五十センチ下がって、今の僕の視点として落ち着いているわけである。

古寺を訪ねて―東へ西へ
土門 拳 (著)
小学館 (2002/02)
P188

TS3E0344 (Small).JPG到津の森公園

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流れを見る [ものの見方、考え方]

「病」といのは流れなんです。ずうっと流れているの。そして、流れのある時点で、今ここに患者が現れてくる。
今の時点で、これまでの流れを「どういう流れなのかなあ」と思って見る習慣をつけることによって、流れを見るセンシティビティが高まる。「こういう症状があるかな?ないかな?」と見るのとは違うの。
「病気全体がどういう流れかなあ」と、病の全体の流れが見える医者になれます。

神田橋條治 医学部講義
神田橋 條治 (著), 黒木 俊秀 (編集), かしま えりこ (編集)
創元社; 初版 (2013/9/3)
P017

 

DSC_0149 (Small).JPG宇治川

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見えないものを信じる [ものの見方、考え方]

 

 この世の中は見えないものが真実、実在なんですよ。宇宙は見えないんです。
見えるものはほんのわずかしかない。
というのは見えるものというのは眼球が感じる波動しか見えない。ところが波動というのは無限にあるんです。

葉室 頼昭 (著)
「神道」のこころ
春秋社 (1997/10/15)
P183

2181986東大寺の鹿

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歴史と真実 [ものの見方、考え方]

 ひとつの史実については、複数の本で調べ、そこから得られた情報を総合して、自分の意見を持つようにするといい。
せいぜいそこまでが、歴史という学問の手の届く範囲だと私は思っている。残念だが、「歴史的真実」など知ることはできないのだ。


 歴史書を読んでいると、歴史的事件の動機や原因が書かれていることがあるが、それをそのまま信じてはいけない。
その事件にかかわった人物の考え方や利害関係を考慮に入れたうえで、著者の考察が正しいかどうか、ほかにももっと可能性の高い動機はないか、自分で考えて見ることが大切だ。
その時、卑屈な動機やささいな動機を切り捨ててはいけない。というのは、人間は複雑で、矛盾だらけの生き物だからだ。感情は激しく移ろいやすく、意思はもろく、心は体調に左右される。


父から若き息子へ贈る「実りある人生の鍵」45章
フィリップ・チェスターフィールド (著), 竹内 均 (翻訳)
三笠書房 (2011/3/22)
P83


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数字のマジックに騙されるな [ものの見方、考え方]

  虫歯を削った後に使う詰め物には水銀の合金が使用されており、ごく微量の水銀蒸気が発生します。これは無機水銀で、メチル水銀のような強い神経毒性はありませんが、ヒトの水銀暴露の一要因となります。
 英国の妊娠女性の毛髪中水銀とアマルガムの有無には関係があり、歯に詰め物をしていない女性とその子どものほうが毛髪中水銀濃度が有意に低くなっています。

このデータだけを見ると、歯の詰め物がある人は毛髪中水銀濃度が2倍になるので心配になるかもしれません。実際英国ではアマルガムの水銀が問題視されています。しかし詰め物によって増加した水銀の濃度は0.2~0.3ppm程度であり、これがもし毛髪中水銀濃度が10ppmを超えることもめずらしくない日本の女性で調査されていたら、アマルガムの有無による差はバックグラウンドの変動に埋もれて検出できなかったでしょう。
英国人女性の毛髪中水銀濃度が0.2ppm程度と少ない値でその変動幅も小さいために、歯の詰め物によるごく僅かな影響も検出できるのです。

 バックグラウンドが低い、すなわち汚染が少ないというのはリスクが小さいということですから喜ばしいことなのですが、メディアはアマルガムで水銀濃度が上がるから問題であるというふうに、きわめて狭い範囲の情報だけを取り上げて報道することが多いのです。ヨーロッパではアマルガムの問題について対応せざるを得なくなり、リスク評価を行って問題ないという結論をだし、広報を行っています。
水銀が心配だからという理由から、現時点ではなんの問題もない詰め物をほかの材料のものに代えるようなことはすべきでないと説明しています

 一般論として、なんらかのリスクなりベネフィットなりを誇張して表現したい場合、数字は絶対値でなく□□の何倍、△△より増えた、といった表現が好まれるようです。
小さい数字はたとえ2倍になっても小さいままです。

畝山 智香子 (著)
ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想
化学同人 (2009/11/30)
P116

-9dfe2.jpg

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中途半端な経験は、感性を鈍化させる [ものの見方、考え方]

  ピーター・パンを読めば、まるで自分が空を飛んでいるような気分になり、シンデレラを読めば、自分が運命の王子様と結ばれたかのような恍惚を味わう。
 ところが、大人になってから童話に接しても、そこまでの感覚は得られません。せいぜいできのいいおとぎ話だと感心する程度で、自分とピーター・パンを一体化させるには至らない。ましてや、空を飛ぶことなどできない。
 これらの変化は、人生のさまざまな場面ででてくるはずです。

 中途半端な経験は、人生の感性を鈍化させる。世界と新鮮に向き合うことを困難にさせる。
 我々はもっと、この事実に自覚的であるべきだと思います。 それでは、どうすれば経験の罠から抜け出すことができるのでしょう?
答えはただひとつ、自らをリセットすること。すなわち過去を忘却することです。

一般に忘却は悪いことのように思われがちですが、我々は忘れるからこそ新鮮な心を保ち、新たな気持ちで世界と向き合うことができるのです。
~中略~
すなわち忘却とは、経験の中で蓄えられた余計な情報を削ぎ落とし、魂のコアにあるものを研ぎ澄ませていくプロセスでもあるのです。
亀山郁夫

40歳の教科書NEXT──自分の人生を見つめなおす ドラゴン桜公式副読本『16歳の教科書』番外編
モーニング編集部 (編集), 朝日新聞社 (編集)
講談社 (2011/4/22)
P177

-85087.jpg金剛輪寺3

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自分のことは見えない [ものの見方、考え方]

人はよほど注意深く自分の心を観察しないかぎり、
そこに欠点を見出すことはできません。
私たちはよく、「自分は別に何も悪いことはしていないのに」といいますが、
それはこうしたことによるものです。

ダライ・ラマ14世テンジンギャツォ (著), Tenzin Gyatso H.H.the Dalai Lama (原著), 谷口 富士夫 (翻訳)
ダライ・ラマ 365日を生きる智慧
春秋社 (2007/11)
P192

1927600龍安寺

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目次 ものの見方、考え方 [ものの見方、考え方]


ものの見方、考え方
  1. マタヨロコバシカラズヤ
  2. 鼠頭牛首(そとうごしゅ)
  3. 意識の中にないものは存在しない
  4. 見れども見えず、ヒトは見たいものを見る
  5. 客観的な観察などありえない
  6. 見る力
  7. 観の目つよく、見の目よはく
  8. 場を見せるな
  9. 流れを見る
  10. 宝は、見ようとする者にだけ見える
  11. 視点
  12. ポジション・チェンジ
  13. 支配者目線
  14. 眼は心
  15. 見えないものを信じる
  16. 思考の三原則
  17. 思考のクセ
  18. 意思決定
  19. 意思を表示したくないという意思
  20. 脳の中に生きる
  21. 「知らない」は「知りたくない」
  22. 心のの半分で自分の心を見る
  23. 五つの妨げ
  24. 直観は案外に正しい
  25. 感覚は当てにならない
  26. 感官が快・不快をもたらす
  27. ”快”を増やせ、”不快”を減らせ
  28. 仏道遠からず
  29. 因果は複雑系
  30. 野狐禅 「不落因果」と「不昧因果」
  31. 布施
  32. 旅に出よう
  33. 現場に行って感じる
  34. 自然は優しい
  35. 自然は人を規定する
  36. 悲しみやつらさは細胞の化学反応である
  37. 快感と幸福は別
  38. 自分のことは見えない
  39. 我を捨てないと見えない
  40. 長短は我にあり
  41. 嫉妬の心は彼我より生ず
  42. ひけ目は自分で感じているだけ
  43. 認められたい
  44. コンプレックスが人を突き動かす
  45. みんな自分が正しいと思って生きている
  46. 自己主張が働くかぎり、いい作品はつくれない
  47. 現実を全面否定するのは簡単
  48. 原理主義は危険
  49. 相手を理解できたと考えてはならない
  50. 当てにしてはならぬ
  51. あんたにオレの苦しみがわかってたまるか!
  52. 何ぞ兄弟なきを患(うれ)えん
  53. 山是山、水是水
  54. 犀の角のようにただ独り歩め
  55. 人が認める基準
  56. 人の意見を参考にするとき
  57. 賤しい人
  58. 修養のある人の言行は一見平凡である
  59. 不当な非難は賛辞である
  60. 間違っていない、掘り下げてゆこう
  61. 穴を深く掘るには幅がいる
  62. 展望は決めつけずに
  63. 兵力は集中
  64. 人は小さな存在である
  65. 心と体
  66. しなやかなカラダとココロ
  67. 耐えられる程度のストレスが幸福を持続させる
  68. 自分のリズムで
  69. 個性と我
  70. 絵事後素
  71. 体力勝負
  72. 組織の存在意義
  73. 事象に目的・ 意味なんてない
  74. 超システム(スーパーシステム)
  75. システムに固執するな
  76. 無駄もまんざら無駄でない
  77. 扉を開けおきたい衝動
  78. 不信は高くつく
  79. 土地医者、土地坊主
  80. 万物全て、これ師たらざるものなし
  81. つまらない本はない
  82. 仕事は「預りもの」
  83. 仕事も遊び
  84. 守・破・離
  85. 悪しきとて、ただ一筋に捨つるなよ
  86. 四分の三ほどの力で
  87. 柔軟性が必要
  88. 気分と免疫はつながっている
  89. 無意識の作用
  90. 日々に、あらゆる面で、私はますますよくなってゆきます
  91. 思いは実現する
  92. 決断力
  93. チャンスとは、幸運の女神の後ろ髪
  94. ツイてる
  95. 一番の強みが一番の弱みとなりうる
  96. すべてのことに「ま、いっか」
  97. そこがいいんじゃない!
  98. ピンチの時は
  99. 手を尽くして祈る
  100. 命まで取られるわけじゃない
  101. 内なる声を聞こう
  102. いつ休むの?いまでしょ!
  103. もう寝よ!
  104. ゆっくり歩く者は遠くまで行ける
  105. 後悔は未来へのバネにはならない
  106. 過去にしばられる必要はない
  107. 日夜に慟みを含むと雖も、亡魂に益無し
  108. 記憶は薄れる。まして他人の記憶は
  109. 認知療法
  110. 逆暗示を払いのける
  111. 予想どおりに不合理
  112. 思い込みを防げ
  113. ストレスへの対応策
  114. 究極のマイナス思考はプラス思考
  115. ホットハート・クールマインド
  116. 中途半端な経験は、感性を鈍化させる
  117. 背水の陣を敷かない
  118. 落ち込んだときは反省しない
  119. 諦める
  120. 成功
  121. 精神的なスランプ
  122. 精神力だけでは勝てない
  123. 劣等コンプレックス
  124. 平常心で臨んでも、いい結果は出ません
  125. プレ・パフォーマンス・ルーティン
  126. 迷信、占いをうまく利用する
  127. 目出たい
  128. 病気は完全否定すべき存在?
  129. どこから病気?
  130. 年をとればこんなもの
  131. 老化は免れない
  132. いくら若さを誇っても、若者にはなれない
  133. 生意を暢(の)ぶる
  134. 今が幸せ
  135. 軽々しく心の傷に立ち入るな
  136. 軽々しく「ガンバレ」って言うな 
  137. 過去に比べると良くなっている
  138. 新しいことなどない
  139. 本末を失へば、乃ち権謀術数に陥る
  140. 都合でなく事実にあわせろ
  141. 現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ
  142. 本当は変わりたくないんだろ!
  143. 最初から結論は出ている
  144. 「ノー」と言われたら
  145. グローバル・スタンダード
  146. 同罪
  147. 高いから良いとは限らないが、良いものは高い
  148. 無料の魅力
  149. 危険なバブルの見分け方
  150. 禁止は人間の好奇心への挑戦である
  151. 好奇心がたいせつ
  152. 好奇心は危険を伴う
  153. データを先に見る
  154. データの先にあるもの
  155. ランキングの弊害
  156. 数字のマジックに騙されるな
  157. 見せかけの経営効果
  158. 科学はまだまだ未完成
  159. 科学と臨床
  160. ジャーナリズムは偏向から逃れられない
  161. マスメディアは権力装置である
  162. 野次馬根性を制御せよ
  163. 知識の対価
  164. よく解っていないということが判る重要性
  165. この世に絶対にたしかなものはない
  166. テクノロジーが、思想を決めるわけではない
  167. 世界が相手だ
  168. 自然科学と宗教
  169. 真=善=美
  170. 自然とのつきあい方
  171. 天然色には及ばない
  172. 歴史と真実
  173. 歴史をつくる歴史家
  174. 現代の価値観で過去を判断してはいけない
  175. 戦いにロマンはない
  176. 安全と水はタダでない
  177. 「安全性」の原点
  178. 文明と災害
  179. 都会の暮らしは楽ですか?
  180. 近代主義者の覚悟
  181. ワイドショーやレポーターは他人事だからやってられる
  182. 正直者の見分け方
  183. リスクを理解する能力
  184. リスクは分散、時々再評価
  185. その問題は本当に解決すべき問題なのか
  186. 刀は「カタナ」以上でもなく、以下でもない
  187. 芸術家
  188. 「サラリーマン」という職業
  189. 道具を駆使すべき
  190. 打出の鍬の小槌かな
  191. 貧乏にメリットはない
  192. 資本を作ろう
  193. 拍子をあわせる
  194. トレンドを読む
  195. 作法
  196. 拙速と入念精美
  197. アガル
  198. 遊び

DSC_4446 (Small).JPG宇佐神宮


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他人のアドバイスを鵜呑みにするな [ものの見方、考え方]

 自分の人生を振り返っても、他人のアドバイスを聞いて失敗し、その人を恨んだことがあった。だが今考えれば、その人の助言を自分で消化しきれていなかった。他人が良かれと思って指摘してくれたことでも、実際はその人がそちらのことや取り巻く環境のことを正確に理解していることは少ない。
なので、それを鵜呑みにして失敗してしまったとしても自分の責任なのだ。  だからこそ、他人のアドバイスも自分で1回消化して、自分の状況に合わせて再検討しなければならない。

頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法
田村耕太郎 (著)
朝日新聞出版 (2014/7/8)
P187

DSC_4408 (Small).JPG宇佐神宮


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いつ休むの?いまでしょ! [ものの見方、考え方]

20
人を高めるのは、苦難でなくて回復である

38
休息する時間がなければ継続できない
[オウィディウス] 古代のローマ哲学者・詩人 | B.C.43-A.D.17

休みたいなら、なぜいま休まない?
[ディオゲネス]古代ギリシャの哲学者 |B.C.412頃-323

眠りはまぶたを蔽(おお)うや、善きも悪しきも、
すべてを忘れさせるもの。
[ホメロス]古代ギリシャの詩人 |紀元前8世紀頃

人生はワンチャンス! ―「仕事」も「遊び」も楽しくなる65の方法
水野敬也 (著), 長沼直樹 (著)
文響社 (2012/12/11)

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命まで取られるわけじゃない [ものの見方、考え方]

 私は自分がストレスを感じているなと思うときは、単純な言葉をおまじないのように自分に言い聞かせて、居直ってきました。
 「命まで取られるわけじゃないよ」
 これを口癖のように言ってみるのです。
 そうすると、不思議なことに、がんじがらめにこわばっていた気持ちが和らいできます。筋肉の緊張がほぐれ、肩、首のこりが少し軽くなります。
 ストレスを避けよう、避けようと逃げまわるのではなく、何があっても、何が起こっても、
 「命まで取られるわけじゃないよ」
 と開き直って、スルリと躱(かわ)す生き方も必要なのではないでしょうか。
~中略~
 天星丸(住人注; 戦後の女性代議士第一号のひとり園田(松谷)天光光さんの妹さんで医師の松谷天星丸)さんは、自分の体調が悪いときや、怪我をしたとき、またストレスを感じたときは、
 「さだめじゃ」
 と自分に言い聞かせて乗り切ったといいます。
 この「さだめじゃ」という言葉をつぶやくと、それまでざわついていた気持ちが収まり、平常心に戻ったといいます。

百歳人生を生きるヒント
五木 寛之 (著)
日本経済新聞出版社 (2017/12/21)
P145

 

DSC_4896 (Small).JPG企救自然歩道


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よく解っていないということが判る重要性 [ものの見方、考え方]

  毒性の報告においても、大学などの論文数を競っているアカデミックの世界では、なにかの物質に毒性が”あった”という報告のほうが、”なかった”という報告より評価が高くなります。
しかし、レギュラトリーサイエンスの世界では、きちんとベースラインが揃っているとか再現性があるというデータのほうの信頼性が高く、「10回に1回しか測定できない毒性影響」などは評価が低いのです。
学術論文の世界では往々にしてなんらかの影響を検出しようとして行った実験によって、目的とする結果が得られなかった場合、論文として発表されないという事態が起こります。(出版バイアス)

畝山 智香子 (著)
ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想
化学同人 (2009/11/30)
P41

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老化は免れない [ものの見方、考え方]

 友人が七十歳を超えたころ、次から次へと歯が悪くなったので、かかりつけの歯医者さんに行き、
「一本治したと思ったら、また次の歯が悪くなった。治療の仕方が悪いんじゃないですか」
 と、旧知のよしみで言ったところ、
「だいたい、人間の体は、五十歳までは元気に動くようにできている。歯もそれに合わせて、五十年くらいしかもつようにできていない。それ以後、故障が出るのは、あたり前だ」
 と言われたそうです。
 肉体の衰えは、歳を重ねれば、万人にやってくるものです。
 日常の立ち居ふるまいすべてをひっくるめて、何でこんなに不自由になったんだろうと感じることは山のようにあります。
 親鸞のように、比叡山開闢(かいびゃく)以来の神童と言われた人物でさえ、八十歳を過ぎてから「字も忘れ候(そうろう)」というような嘆きをつぶやいています。
 あれだけ博学で記憶力抜群だった人物が、いろいろな固有名詞や字を忘れ、それを嘆いていたと思うと、親鸞のような超人にさえ、老化は免れなかったのだと、私たち凡人は少し安心します。
 私たちは退化していく肉体をまとって、この世界に生きていくことを、まず認めることからはじめなければなりません。

百歳人生を生きるヒント
五木 寛之 (著)
日本経済新聞出版社 (2017/12/21)
P105


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歴史をつくる歴史家 [ものの見方、考え方]

P12
 司馬遼太郎さんは、作家であると同時に、歴史について調べ、深く考えるという意味においては歴史家でもありました。しかし、他の歴史家と、司馬さんは一線を画しています。
司馬さんは、ただの歴史小説家ではありません。「歴史をつくる歴史家」でした。  非常に稀ではありますが、日本史史上何人かこうした歴史家は存在します。歴史というのは、強い浸透力を持つ文章と内容で書かれると、読んだ人間を動かし、次の時代の歴史に影響を及ぼします。
それをできる人が「歴史を作る歴史家」なのです。
 後世の歴史に影響を与えたと言っていい最初の歴史家は、もしかすると「太平記」の作者とされる小島法師かもしれません。小島法師は琵琶法師と言われており「太平記」で後醍醐天皇の即位から細川頼之(よりゆき)の管領就任までの半世紀に及ぶ南北朝の動乱を描きました。
 この「太平記」が、一躍スターに押し上げたのが楠正成です。~中略~
 「太平記」が楠正成を忠義の士として、あれほど叙情的な美しい名文で描いていなければ、後の歴史は違ったでしょう。明治維新は、私たちが知っている形にはならなかった公算が高いと思います。
 明治末の一九一一年になると、南北朝いずれの皇統が正統かをめぐる「南北朝正閏論」という論争がこの国に興ました。 ~中略~
 日本の現在の皇室は北朝の系統ですが、明治天皇はこれを裁断し、楠正成が仕えていた南朝が正統であると決定しました。陸軍の軍人たちも軟調の正統性について論じるなかで、国家主義的な思想を固めていきます。
 こうして第二次大戦の敗戦時まで、日本の国家では南朝を正統とする議論が正しいとされていました。「太平記」に書かれた歴史観が、昭和以降のわれわれの歴史にまで影響を与えていると言えるのです。

P14
 その後、歴史に影響を与えた主要な歴史家は三人しかいない、と私は思っています。一人は、約二〇〇年前に「日本外史」を著(あらわ)した頼山陽(らいさんよう)です。彼は広島藩の儒学者の家に生まれました。 ~中略~
広島藩を脱し、その罪で自宅に軟禁されている間に、「日本外史」の執筆に取りかかり、源平から徳川に至る武家の興亡史二二巻を書き上げます。幼いころから英才教育を受けていた頼山陽の筆は超絶したもので、この「日本外史」は当時のベストセラーとなりました。
 彼はこの書によって、日本は本来天皇が治めていたもので、武家の世とは一種の「借り物」のようなものであることを当時の日本人に認識させました。それが尊皇攘夷の気運をかき立て、明治維新を実現させるという形で歴史を変えたことがご承知かと思います。
 もう一人は、作家・ジャーナリストとして長く活躍した徳富蘇峰(とくとみそほう)です。蘇峰は熊本藩の庄屋の家に生まれ、キリスト教や西洋の学問を早くから取り入れていた熊本洋学校で教育を受けて、明治時代に日本で最も影響力の大きなジャーナリストとなりました。
~中略~
 この蘇峰こそ、「近世日本国民史」全一〇〇巻を書き、日本人の歴史観をはっきりと規定した人です。おそらく、国民国家日本の成り立ちを、豊富な史料を駆使して日本人に認識させた最初の人が蘇峰であっただろうと思います。
 彼は熊本の出身だったと書きましたが、面白いことに、日本近代を考えるうえで、この熊本出身者というのは非常に重要です。歴史観をつくった蘇峰の他に、大日本帝国憲法※2の制定におおきく関わった井上毅(こわし※3)、また、その井上とともに教育の基本法にあたる教育勅語※4を起草した元田 永孚(もとだ ながざね※5)も熊本の人です。
~中略~
 そして頼山陽、徳富蘇峰に続く三人目の歴史家が、司馬遼太郎さんということになります。~中略~
 司馬さんはその作品世界を大量の著書によって国民に提供してくれました。特に文庫という安価で入手容易な形をとって、著作が日本家庭の書棚に入り込み、その叙述が映画やテレビ番組に翻案されていった点は重要です。日本人の多くは司馬作品を通じて日本の歴史に接し、その歴史観をつくったと言って過言ではないでしょう。  

「司馬遼太郎」で学ぶ日本史
磯田 道史 (著)
NHK出版 (2017/5/8)

DSC_4892 (Small).JPG企救自然歩道


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この世に絶対にたしかなものはない [ものの見方、考え方]

 それと、もうひとつ付け加えるとすれば、百人百様、みんなそれぞれ異なった人間であり、生き方、考え方一つとして、同じ人間はいないという自覚が必要だということです。
 たとえば、書店の棚に、長生きのための健康の本や生き方本が、無数にならんでいますが、それも、もとを正せば、ひとりの人間の考えたヒントであって、絶対に正しいというものではないということです。
そんなささいなことを例にとっても、この世に絶対にたしかなものはないというのが、私の考えなのです。

百歳人生を生きるヒント
五木 寛之 (著)
日本経済新聞出版社 (2017/12/21)
P214

DSC_4907 (Small).JPG北九州空港 企救自然歩道


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ゆっくり歩く者は遠くまで行ける [ものの見方、考え方]

九州の山を歩くと、脇目もふらずといった感じでさっさと登っている人が多い。時速でいえば、4キロくらい?
 これは、大人が平坦な街中を歩く際の平均的なスピードです。この速度で北アルプスの山を縦走なんかしたら、よほど体力に自信がある人でない限り、途中でバテて歩き通せないのでは・・・と思うのです。
九州の場合、日帰り山行が主体で、登山口から山頂まで片道2、3時間という山がほとんど。だから、前述の歩き方で通用するのでしょうね。それが悪いとは言いませんが、山登りはスピードを競うものではありません。
~中略~
 で、「ゆっくり」の具体的な解答としては、ハアハアゼエゼエ息を切らさない程度の速さというふうに理解してもらえば幸いです。ついでにいえば、ハアハアゼエゼエとは、私としてはかなり疲れた状態、いわばバテる一歩手前くらいのニュアンスを込めているのですが、こういう感覚的な部分は、やっぱり表現が難しいですね。

登山力アップの強化書
徳永 哲哉 (著)
西日本新聞社 (2017/6/19)
P054

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いてまえに落とし穴が潜んでいる [ものの見方、考え方]

―冷たい雨に打たれながら前進している。風も強く、体が冷えてきて寒い。フリースを1枚着込み大河たいが、あと30分も辛抱したら避難小屋に着きそうだ。立ち止まってザックを下すか、それとも歩き続けるか―
 もしかしたら、歯を食いしばって前進し、一刻も早く避難小屋へ到着したほうが結果としてよかったという場合があるかもしれません。でも、私なら30分後の避難小屋よりも今の寒さをなんとかするために、ザックを下してフリースを着ます。
体が発しているシグナルを大切にして、寒いと感じたら着る、暑ければ脱ぐ、そうシンプルに行動する方が好結果を生むと経験的に知っているからです。その30分の間に低体温症で行動不能にならないとも限りませんね。
 実をいうと、立ち止まる、ザックを下す、フリースを取り出す、着るという一連の動作は、とても面倒なんものなのです。
好天時ならなんともないのに、雨や雪や強風など状況が厳しくなればなるほど一つ一つの動作が億劫になるんですね。そこに落とし穴が潜んでいるような気がします。小さな穴ですが、ときには生死を左右するかもしれないと認識すべきです。
~中略~
 ゴー、ステイ、バックという三つの選択肢があるとき、どれが正解かは一概には言えません。天候、ルートの難易度、装備、そのパーティなりう個人なりの力量といった要素が複雑に絡んでくるからです。しかし、一つ言っておきたいのは、ステイやバックを選ぶには決断と勇気がいるということ。そのため、厳しいと分かっていながらも、ひたすらゴーとなってしまう。
そうした遭難事例が多いように思えてなりません。
 山登りにおいてゴー(前進)は、ある意味前提ですからね。ゴーを選択したというのは、決断を先送りしたのと同義とも言えるわけですよ。たとえていえば、車にタイヤチェーンを装着するケースとよく似ています。

登山力アップの強化書
徳永 哲哉 (著)
西日本新聞社 (2017/6/19)
P079

 

DSC_4800 (Small).JPG英彦山

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