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宣伝と真実を区別するには [社会]

  真実を探求するのは、科学の任務である。だから、うそと誠、まちがった宣伝と真実を区別するには、科学が真理を探究するのと同じようなしかたで、新聞や雑誌やパンフレットを通じて与えられる報道を、冷静に考察しなければならない。
乱れとぶ宣伝を科学的に考察して、その中から真実を見つけ出す習慣をつけなければならない。  一、科学的考察をするにあたって、まず心がけなければならないのは、先入観念を取り除くということである。
われわれは、長い間の経験や、小さい時から教えられ、言い聞かされたことや、最初に感心して読んだ本や、その他いろいろな原因によって、ある一つの考え方に慣らされ、何事をもまずその立場から判断しようとするくせがついている。~略
 二、次にたいせつなのは、情報がどういうところから出ているかを知ることである。 読んだり、聞いたりしたことを、そのまま信じこむことは、ただに愚かなことであるばかりでなく、またひじょうに危険である。
だから、いつも自分自身に次のようなことを質問してみるがよい。すなわち、だれがそれを書き、それを言ったか。それはどんな連中だろうか。かれらにはそういうことを言う資格があるのか。どこで、どうしてしの情報を得たか。
かれらは先入観念を持ってはいないか。本当に公平無私な人たちか。あるいは、まことしやかなその発表の裏に、何か利己的な動機が隠されてはいないか。こういった質問を自分自身でやってみることは、たしかに科学的考察の役に立つであろう。
 三、新聞や雑誌などを読むときに、次のような点に注意する。
 イ、社説を読んで、その新聞や雑誌のだいたいの傾向、たとえば、保守か、急進かをできるだけ早くつかむこと。
 ロ、それがわかったならば、それとは反対の立場の刊行物も読んで、どちらの言っていることが正しいかを判断すること。
 ハ、低級な記事を掲げたり、異常な興味をそそるような書き方をしたり、ことさらに人を中傷したりしているかどうかを見ること。
 ニ、論説や記事の見出しと、そこに書かれている内容とを比べてみること。
記事の内容にはだいたいほんとうのことが書いてあっても、それにふさわしくない標題を大きく掲げ、読者にまるで違った印象を与えようとすることがあるから、標題を見ただけで早合点してはいけない。
 ホ、新聞や雑誌の経営者がどんな人たちか、その背後にどんな後援者がいるかに注意すること。政府の権力に迎合する新聞を御用新聞というが、政府でなく、金権階級におもねるような新聞も、御用新聞であるにことに変わりはない。
 四、毎日の新聞やラジオは国際問題でにぎわっている。今日では、国の内部の政治は国際問題と切り離すことにできない関係があるから、国際事情にはたえず気をつけて、その動きを正しく理解することが必要である。
戦争前の日本国民は、世界じゅうが日本のやることをどう見ているかを少しも考えずに、ひとりよがりの優越感にひたっていた。これからも、日本が国際関係の中でどういう立場におかれているかを、たえずしっかりと頭に入れて、そのうえで国内の問題を考えてゆかなければならない。
国際間の宣伝は、国内におけるよりももっと激しく、もっとじょうずに行われるから、いろいろなことを主張し、論争している国々の、本当の目的を察知するように努めなければならない。特に、言論や出版が政府の手で厳重に統制されている国に対しては、そういう注意がたいせつである。

民主主義
文部省 (著)
KADOKAWA (2018/10/24)
P143

DSC_6192 (Small).JPG金峯山寺


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