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運命を受け入れる [日本(人)]

 日本人が肉食をするようになりましてから、西の世界から久しくわたくしどもをきりはなしていた伝統の壁も、随分と打ちこわされました。
そして、こうした急激な変化には、大きな代償が支払われたのでございます。が、これもいたし方ないことでしょう。
御維新後は、大勢の武士が、それまで扶持されてまいりました制度からきりはなされ、一朝にして零落してしまいました。
そればかりか、金銭にかかわらないことを根強く教えられた武士達は、当世には全く水を離れた魚同様でございました。この人々のうちには、年若く青雲の志に燃えて一旗挙げようとした方も多勢ございましたが、世に申す武士の商法で、失敗だらけでございました。
 戸田さんという方も、そういう中のお一人でありました。

~中略~
 この方は、過去の武士を代表していられた方です。今は迎えられそうもない、古い教養の外には、この新しい世代に、何の捧げるものをも持ちあわせていない故に、不運を静かに受けて、うらぶれの身を生きぬかれたのでございます。
こうした人々もまた、皆、英雄ではございますまいか。

杉本 鉞子 (著), 大岩 美代 (翻訳)
武士の娘
筑摩書房 (1994/01)
P42

2181785興福寺

 

武士の娘


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